2016年 3月23日
| 【PC】ついにMODを始めました【Assetto Corsa】
| ねないの? |
| 自分がもっとも好きなF1マシンと言えば、いくつか候補はありますが、やはりベストはティレル019でしょうか。 中嶋悟とジャン・アレジの1990年シーズンマシンです。
世界初のハイノーズ・アンへドラルウィング(逆ガルウィングとも)で、シンプルなカラーリングと合間って素晴らしくスタイリッシュなマシン。 成績も飛び抜けてはいないものの、非力なコスワースDFR V8ながら表彰台を含む複数回の入賞でコンストラクターズ5位となり、十分に成功したマシンと言えます。
Assetto Corsa以前にプレイしていたrFactorには、1990年シーズンの全マシンと全コースのMODが作られており、そのMODでもティレル019は少ないポリゴンで上手くモデリングされていて、十分に楽しめたのですが、rFactorではOculus RiftのVRに対応していない。 rFactorをVR対応にする外付けアプリも買ってみましたが、上手く動作せず。 じゃあAssetto Corsaに誰かがティレル019を作ってくれるのを待つか、と1年近く待ってみましたが、誰も作ってくれず。 そもそもこの年代のF1マシンのMODがほぼほぼない状態。(ようやくこないだ1988年のマクラーレン・ホンダMP4/4が出てた)
実は以前からFIAが、ライセンス供与なしでF1マシンのMODを作ることを禁じており(個人のMODで有償配布でなくても)、それも多少影響しているのかも知れませんが、その割には相変わらず最近のマシン(2014年とか2015年シーズン)はフツーにAssetto CorsaでもMOD作者がリリースしているのに、やはりちょっと古いマシンが全然ない。 というカンジで、どうにも自分の欲しい時代のF1マシンMODが手に入らないので、自分で作らざるを得なくなった訳です。
とは言え、一昨年までやっていたGrand Prix4のMODとは、ワケが違う。 GP4では、MODと言っても作ったのはガワだけ(タイヤやサウンド、挙動は全車共通)ですが、Assetto Corsaの場合はクルマごとにパラメータを自由に触れる代わりに、音も挙動も何もかも自作せねばならない。 ただ、とりあえず似たマシンからデータを流用することは出来るので、ガワだけ作っても一応は走れるようになるので、試しに作ってみることにしました。
2014年春に作った可夢偉の最後のマシン、ケータハムも当時としてはかなり緻密に(初のメタセコを使ってのモデリングで)作りましたが、当時のマシンパワーやGP4自体の限界もあって、リアルなのはあくまでボディだけ。 しかし最新のゲームであるAssetto Corsaだと、妥協不要でいくらでもリアルに出来るので、ヘタするとボルトやナットまで再現可能なレベルに。 但し、当然そこまでやるには膨大な資料が要るし、時間も掛かるので、大体のディテールレベルを事前に決めて、それを指標に作ることにしました。 資料は以前買ったF1速報のムックがあるので、ネットの情報と合わせればかなりある方です。 当時出ていた、よく出来たプラキット、モデラーズの1/24モデル ティレル019より少し上くらいを目指すカンジで。 すべてのパーツのボルト・ナットまでは再現しませんが、見えるところにはそれも再現するレベル。 あと、Oculus Riftで乗るのが目標なので、コクピットだけは他の部分より1レベル上げたモデリングというところで。
ケータハム制作で使い慣れたメタセコを今回も使います。 最近のクルマみたいにボディやウィングエレメントが複雑ではないし、シンプルながら特徴的なデザインのマシンなので、モデリングは比較的簡単かと。
ところが、意外なところでスキルがないことが露呈。 そもそもまずはAssetto Corsaで動くMODの勉強のために、rFactor版ティレル019を移植することに。 まずはここで躓いて、うまく走らないどころか画面に表示すらされないようなことが多い中、意外にもあっさりとゲーム画面に表示されましたが、問題が山積み。 静止状態なら正常に表示されますが、走行し始めるとタイヤがあらぬところを支点に回転し始める。
さすがにほとんどrFactorデータのままだからやむを得ない、データを修正しようと思ってチュートリアルを見ると、タイヤのローカル座標をホイール中心にせよ、と図解入りで書かれている(チュートリアルPDFは英語だが、図解が多いのでなんとか理解できる)。 そうか、ローカル座標か、なるほど、ていうかローカル座標ってなんだ?
自分的には割と3Dモデリング歴が長い方だと思っていたし、メタセコもかなりマスターしたと思っていたのですが、基本的な知識が欠けていました。 グローバル座標が絶対座標とすると、ローカル座標は相対座標と言えます。 ようするに、パーツひとつひとつがそれぞれ持っている座標で、タイヤ・ホイールのローカル座標が車体の中心点にあったため、そこ中心におかしな転がり方をした訳です。 じゃあローカル座標を修正しよう、と思ったのですが、メタセコでの直し方が分からない。 ググってみるとどうやらメタセコには最新バージョンでもローカル座標をいじる機能がついていないらしい・・・というウソに騙され、右往左往した挙句ようやく、古いメタセコにもちゃんと機能があることを知り、編集ができました。 これ以降、ローカル座標の修正ポイントがありまくり。タイヤの回転もだが、ステアリングの軸やサスアームの軸の動き、コクピットのアナログメータの針に至るまで、全部ローカル座標が正しく設定されてないと動かないのです。 ホント、メタセコに機能がないなんてよくそんなウソが言えたもんだ。まったく。
そこをクリアしたと思ったら、また思わぬ方向の難関が。 やっとそれなりにまともに走りだしたドラフト版ティレルですが、コクピットのドライバーがちゃんとステアリングを握っていないのが気になりました。 ドライバーモデルは何種類かあるデフォルトのものを使いますが、着座姿勢やステア動作、シフト動作などはMOD作者が自車に併せて直さないといけません。 最初はとりあえず版だったので、他のF1マシンMODのものを流用していたので、ピタッと合っているはずはもちろんなく。 これもメタセコでなんとかなるのかな?と思ってテンプレートのドライバーモデルデータを読ませてみましたが、うまくいきません。 ドライバーモデルデータは、汎用のFBX形式なのですが、FBXというのはアニメーション機能を内包できます。 で、このステアリングを回したりシフトを握ったりする動作というのはアニメーションで出来ていて、そこを修正しないといけないのですが、メタセコというのはアニメーション機能がそもそもありません。 プラグインで優秀なボーン機能を付加することは出来るものの、おそらくFBX形式のアニメーションとは互換性がない。 そしてもちろんそのアニメーションが付加されたFBX形式データが、うまくメタセコで読めてない時点でどうしようもないので、如何したものかと途方に暮れましたが、なんとかなりました。 FBX形式の生みの親であるAutodesk社のモデラソフト、3DS MAXの無料体験版で読み込んだところ、ちゃんと各関節のローカル座標を修正することが出来、それに合わせてモデルが変形し、アニメーションのキーも打てたので、着座姿勢をティレルに合わせ、ステアリングもテンプレは市販車用の大径ハンドル向けの動きだったので、フォーミュラの小径ホイールに合わせて手のアニメーションを作り、マニュアルシフト操作もほどほどに作り、やっとアニメーションが完成しました。
これまでMIKUMIKUダンスとかにも興味はなく、ひたすらF1マシンと家具だけ作っていたので、キャラクターアニメーションとは縁もなくこれからもないだろうと思っていたのに、まさかMODを作っていてそれにぶち当たるとはびっくりしました。 お陰でキーフレームアニメーションのスキルもちょっとだけついたし。テンプレを使っただけなので、ボーンの埋め込みとか一番大変なところはまったくですが。
ようやくドラフト版の問題も解消し、自作モデリングのティレルもあらかた出来てきて、更にここで各部品の素材感を上手く出せず悩みながら、テクスチャの工夫や公式のMODエディタである「KsEditor」でのマテリアル設定のノウハウなどをいろいろと情報を仕入れながら、少しずつリアリティや素材感の出し方を学びながら、やっとそれっぽくなってきました。 ドライバーカラーリングは若干適当ながらも、ちゃんと中嶋とアレジのヘルメットとスーツに塗り分けて走らせてみました。 エンジン音はとりあえず公式カーから流用してフェラーリ599の音を、挙動も年代の近いMODのジョーダン191があったので、そこから拝借しましたが、自分で乗ってもなんかうまく乗れない、というか操縦が難しすぎる。 200km/h以上で走行中に、6速10000回転オーバーでもホイルスピンする状態で、まともに乗れたものではない。 案の定、試しにAIで走らせてみると、直線でもドリフトしながら走る始末。(テールを振り出しながらストレートを走る、もちろんスピード出ない)
エンジンがハイパワーすぎるのか、タイヤグリップが低すぎるのか、サスペンションが硬すぎるのか、エアログリップなのかギアボックスなのか・・・基本的知識がないので何が原因かを探ることすら不可能で、あまつさえどのパラメータをいじるとどうなるのかもほとんど分からない。 ゲーム内のマシンセッティングである程度直すことは出来るものの、毎回走行前に変更するのは煩わしいし、そもそもOculusではマシンセッティング画面がないので、デフォルトセットで走らざるを得ない。 別のマシンから挙動データを持ってきたり、分かる範囲で挙動パラメータを弄ったりしているうちに、なんとかそれなりに走れるようにはなってきましたが、まだまだです。 エンジン音も、フェラーリの音は甲高くて気持ち良いので、しばらくそのままにしていましたが、いざプロモビデオを作ってみたらまったくV8ぽくないので、今度はロータス49のエンジン音に差し替えることに。 ロータス49は1967年シーズンの葉巻型F1マシンで、1990年型のティレルとは年代もデザインもかけ離れていますが、実はエンジンは同じフォードのV8で、排気量が500ccほど違うものの、実際のエンジンブロック自体も20年以上使われた、90年当時で既に年代物だった訳で、同じものと言って過言ではない。 聴き比べると多少違うものの、フェラーリの音よりは近い気がします。
プロモではゲームのリプレイ機能を使ってますが、なぜかリプレイ中は右の水温計の針が動いてない。 ゲーム中はちゃんと動いてるんですがね。 ただ、なぜか停車中の風がラジエターに当たってないときも水温が全然上がらないので(スロットル吹かしまくっても100℃行かない)、再現性はイマイチですが。 あと、運転が下手なので右京バリにオーバーレブさせ過ぎで、すぐにエンジンが壊れそう。 ちゃんとレブリミットの11770rpm以下でシフトチェンジできるようにしましょう。
エンジン音の自作も含め、まだまだ完成には程遠いですが、なんとか形になってきました。
P.S. ああ、もちろんOculus Riftでの走行は楽しいですよ。
憧れのティレル019で、時間を忘れてイモラを走りこんでしまいました。
そしていよいよ、あと5日ほどで・・・ 1/7の予約で、初回ロットに乗っていれば、ですが。 | | | |
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